演者: 小野悠介さん(熊本大学発生医学研究所・教授/東京都健康長寿医療センター研究所・研究部長)
演題:骨格筋研究の可能性~人生100年時代を豊かに生き抜くために~
日時:2024年1月19日(金) 18:00-19:30
要旨:骨格筋は、使用頻度や負荷に応じて大きさや代謝様式が変化し、激しい運動や打撲等によって傷ついても速やかに修復・再生されるユニークな臓器です。しかし、加齢にともないそのような機能は低下することがわかっています。近年、骨格筋研究は世界中で盛んになっています。その背景として、自立して生活できる期間である「健康寿命」の延伸が少子高齢化の重要な課題として顕在化したこと、また、加齢にともなう筋量・筋力の低下が「サルコペニア」として疾患と新たに位置付けられたことが挙げられます。さらに、筋量・筋力は、心血管系疾患率、がん発症率、認知能低下率と逆相関し、寿命と正の相関を示すという多くの疫学的エビデンスも蓄積してきました。したがって、骨格筋を生涯にわたって健常に保つことは、人生100年時代を豊かに生き抜く鍵になるといえます。本講演では、健康寿命の延伸を目指し、私たちが取り組んでいる骨格筋研究の最新知見と今後の展開についてご紹介します。